野平祐二さん・・・スピードシンボリ(4)
…引退レースとなった翌年の有馬記念はどうでしたか?
「このときは調子が良かったですからね。自信がありました。最後だから、横綱がどうやって勝ったら横綱らしく見えるのかってね、それだけを考えてましたね。
それで、最後まで一番後ろにいて直線でみんな抜いてくれば、一番カッコよく見えるんじゃないかと思って、3コーナーまで一番ビリにいたんですよ(笑)。
不安? なかったですよ、全然。危険に見えてもそれで勝てばいいんです。もし届かなかったらどうしよう、なんてのはなかったですね。相手のことなんか、全然考えもしなかった。
で、ほんとは4コーナーまで後ろにいるつもりだったんだけれど、3コーナーで内側の馬場の悪いところがガラあきになってね。そこしかいくとこないから、そこ通っていっちゃったわけですよ。あの馬、馬群を縫っていくときはほんとに速いから、あっという間に先頭までいっちゃった。そして、またアカネが外からガァーッとやってきて。また前の年と同じ結果になっちゃった。また勇み足ですよ(笑)。だからね、カッコつけようとしても、なかなかうまくいかないものなんですよね、勝負ってのは(笑)」
…この有馬記念連覇を花道にしてスピードシンボリは牧場へ帰っていったんですね。
「はじめの頃は、なんて弱々しくてなよなよした馬なんだろうって思ってたけれど、いま思えば、あんなにしっかりした馬もいなかったですね。いま、うちの厩舎はクラシックどころか、未勝利ひとつ勝つのも大変だって馬ばかりなんですけど(笑)、なかなか自分の能力を出しきれない馬たちを見てよく思いますよ。この馬がスピードシンボリの我慢強さを半分くらいでも持っていてくれればいいのにな、とね」

