野平祐二さん・・・スピードシンボリ(2)

…サラブレッドの本質である繊細さを強くもっていたわけですね?

「そうです。外から見ると、細くて、脚が長くて、とてもひ弱に見えるんだけど、内に秘めた闘志というか我慢強さはすごかった。猛烈でしたね。だからレースへいくと全然ちがうんですよ。相手が隣にいると対抗心を出して走るから、馬群を割ってグァーンと上がっていくのが得意でしたね」

…体形はどんな感じだったんですか?

「きれいな感じでしたね。私の好きなタイプ。私は、競馬って優雅にスマートに見せるもんだと思ってるので、どちらかというと、あんまり大きくて不細工な馬は好きじゃないんです、実は(笑)。あんまり厚い馬は好きじゃない。ノーザンテースト? う〜ん、やだねえ(笑)。

そこへいくと、スピードシンボリはきれいなタイプでした。亀甲がす〜っと長くて、脚も長くて、細くて、体が薄くてね。鹿毛ってのも良かったね。スマートな馬でした。あの馬が3歳(現在の2歳)から8歳(同9歳)まで長く活躍できたのは、そういう体形的なものもあると思いますよ」

…二度目の海外挑戦にあたって、自信はあったんですか?

「あった、あった(笑)。前にアメリカに行ったときに、そんなにたいしたものでもないなって思ったんですよ。ヨーロッパの代表といってもこの程度のものなのか、とね。だから、いまのスピードシンボリならば、なんとかなるんじゃないかっていう変な自信というか自惚れがありましたね。

えらく過信してたんですよね。でも、それがなくちゃ仕事なんてできませんからね(笑)

それで、ヨーロッパへ入って、実際に中で競馬をやってみたら全然ちがったんです。私が考えてた表から見たヨーロッパの競馬と中のほんとの競馬はちがってた。この驚きは大きかったですよ」

…キングジョージ6世&クイーンエリザベス・ステークスは5着でしたが、あのレースでもそう感じたんですか?

「あのときは、4コーナーまで手ごたえがこんなに良くっていいのかというくらいに良くて、コーナーまわって一瞬ハナに立つんですけれど、その途端にあっと言う間に抜かれて置いていかれてしまったんです。

そのとき、私がいままで30年近くやってきた日本の競馬と、ヨーロッパの長い伝統の上にある競馬の、質のちがいというものをしみじみと感じないわけにはいきませんでしたね」


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