-vol.4
 2001/07/17 -

もしも「ツキの法則」を発見できたら、競馬も連戦連勝なのになあ…。競馬ファンならば、そんな妄想を抱いた経験が一度はあるのではないだろうか?

なにを隠そう、私もその一人である。ある書店の競馬コーナーで、『ツキの法則〜「賭け方」と「勝敗」の科学』という魅惑的なタイトルをもつこの本を見つけたとき、「これだ!」と早合点してろくに中身も読まないで買ってしまった。

著者の谷岡一郎氏は、犯罪学とギャンブル社会学、社会調査論を専門とする大阪商業大学の教授にして、同大学の学長(でも、まだ45歳)。ブラックジャック、ルーレット、競馬などのギャンブルに精通し、「カジノゲーム入門」「ギャンブルフィーヴァー」などの本を出しているというユニークな一面の持ち主だ。

そんな大学の先生が書いた本なのだから、きっと説得力のある「ギャンブル必勝法」が展開されているのだろう。そう思って読み始めたら、いきなりガツンとやられてしまった。そこにはこう書かれていたのだ。

「残念ながらギャンブルに必勝法はない。世に存在する何万通りもの必勝法のうち、ひとつでも正しければギャンブル産業を支える基盤は崩壊するはずである。が、今のところギャンブル産業は健在である。過去数世紀そうであったように。(中略)『確実に勝つ方法』はなくても『確実に負ける方法』ならわかっているのである」

つまり本書は、ギャンブルの「必勝法」ではなく「必敗法」を説いた本だったのである。

谷岡先生は統計学の理論にもとづきながら、「ツキ」の正体を解き明かし、「確実に負ける賭け方」とはどんな賭け方なのかを解説していく。 そして、世にはびこるギャンブルの必勝法やギャンブラーのカンといったものが、科学的にみていかに根拠のないものであるかを強調し、そんなものには躍らされないようにと警告する。

だが、だからといって谷岡先生はギャンブルそのものを否定しているわけではない。むしろその逆で、「余暇の楽しみやレジャー活動としてギャンブルを行なう人々は、大変健全な人々といえる」として、現代社会におけるギャンブルの効用を積極的に肯定している。問題はどんな楽しみ方、どんな賭け方をするかなのだ、と。

さすがに学者だけあって、谷岡先生の言っていることは筋が通っていて説得力がある。「ギャンブルに必勝法はないのだから、大負けしないでギャンブルのスリルを楽しむにはどうしたらいいかを考えるべきだ」という主張もよくわかる。

でもね、競馬ファンたるもの、「必勝法がどこかにないものか…」と考えずにはいられないのも、やっぱり事実なんですよね。

関連サイトツキの法則


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